「冬のソナタからの」        バンクーバ—新報 2009年 1月8日

 日本での韓流(はんりゅう)ブームは、2003年のNHKBS放送の『冬のソナタ』で社会現象になりました。でも、私達が住む北米では、西海岸,特にサンフランシスコ周辺などではブームはすでに起きていて、『冬のソナタ』を一足お先に楽しんだ方々は多かったはずです。“コリアンソープオペラ”とこちらで称されていた韓流は、『秋の童話』、『夏の香り』と言ったドラマ、あるいは、中国本土で人気を得ていた『愛しています』とか『人魚姫』だったかもしれません。『秋の童話』は『冬のソナタ』のユン⋅ソクホ監督の作品で、四季シリーズの第一作にあたり、やはり第3作目の『夏の香り』にも主演している“太い炭眉”、“美しい少女?”(とさえ言われた)ソン⋅スンフォンが主人公を演じています。この作品は韓国の1997年、文化輸出国策を背景に,台湾、香港、中国、ベトナム、タイ、シンガポールと言った国々で放送され、爆発的な人気を得て、この流れで、北米に入りました。『冬のソナタ』は日本で、そして、同じく2003年に『チャングムの誓い』が中国本土で旋風を巻き起こす訳ですが、日本の場合、『チャングムの誓い』は50代以上の男性ファンを増やした事で一目置かれています。中国でイ⋅ヨンエは日本でのヨン様のような人気を生みました。『チャングムの誓い』はサンフランシスコ周辺では10万人以上の人が観たとさえ言われています。
 
 日本では韓流の後に華流(ホアリィオウ)が起きたように言われていますが、韓流が韓国の1997年のアジア通貨危機対策が発端なら、華流はやはり1997年の香港返還以降、香港や台湾などのTV,映画人が、中国本土で活躍する場が増え、反対に本土の各界のアーチスト達も、中国本土外での活躍が許されるようになって規制が緩和されて来ているからだと言えるでしょう。日本で「華流」と言う言葉が使われ始めたのは2005年の初頭からです。その前年には中華人民共和国製作の“武侠ドラマ”が放送されるようになりました。その数年前には台湾からの日本の漫画を原作にした“青春恋愛ドラマ”も入って来ていました。F4の『流星花園—花より男子』(「だんご」と読みます)などは台湾で大ヒットし、続いて日本でリメイク、今年の1月初めから、韓国で韓国版 『花より男子』が放送され、すでに人気は韓国だけじゃなく、アジア全区域に及ぼうとしている勢いです。”イケメンは国境を越える“、とはオーバーな表現でしょうが、現実になりました。 日本での「華流」が生み出された背景には、又、日本のBSデジタル放送の開始に伴うコンテンツ不足(番組不足)が指摘されています。

 今日、“韓流”は“流行”であるからして、日本ではすでにブームは過ぎて、下降気味と言われていますが、個人的には,映画などを見ていると,日本での興行収入は減っていても、映画文化としての衰えを感じる事は出来ません。90年代後半から、新たなウェーブが来ているのを、アジア全体に感じます。逆に韓国では「日流」(イルリュ)ブームが起きていて、(イルド族=日本ドラマ族)と言う名前まで頂いているのです。台湾は、昔から哈日族(ハーリーズー)と言う日本大好きな若者が多く住むと言います。アジア全体が1つになって、刺激し合い、合作映画も沢山制作されています。アジア映画はこれからが面白い、と私は思うのですが。