ようこそお越し頂きました:

皆様:このサイトにお越し頂き、私の記事を読んでいたけることにお礼を申し上げます。残念ながら、バンクーバー新報での『リヒト緑のMania de Night!』は、2015年3月号を以て終了致しました。5年に及ぶ連載にバンクーバー新報そして読者の皆様に感謝致…

フィリピン映画『Graceland』(2013 年)

この映画『Graceland』は、低予算というだけで、「面白いの?」と拒否反応が出る可能性は高いでしょう。貧富の差が激しいフィリピンで、誰が、現実的な話を観たいか?と。もっと恋愛コメディ、大衆コメディを持ってきやがれ、とね。が、私の知るところ、それ…

『KANO』(『KANO 1931 海の向こうの甲子園』2014年)

『KANO』(『KANO 1931 海の向こうの甲子園』2014年)この映画『KANO』は、日本で先月24日に全国63ヶ所で上映されたばかりの作品です。『KANO 』とは、大日本帝国統治時代(1895年から1945年の50年)の台湾に実在した、嘉義農業高校(現国立嘉義大学)…

初めに:

このアジアン映画評を書き初めて、すでに、5年が経ちました。 まずは、バンクーバー新報さんに感謝致します。このサイトは、元より書庫として,皆さんに読んで頂く為に設置しました。アジアン映画を,今までも、大好きでしたけど、この5年は、アジアン映画…

『Journey to the west : Conquering the Demons』(2013年)

ちょっと当惑している。この映画は、中国で5200万人を動員した興収第1位、世界12カ国で上映されたと云うメガヒット作品だ。11月末に日本で上映の予定だったはずで、監督の周星馳(チャウ・シンチー)が日本に6年振りに来日して記者会見を開いてい…

インドネシア映画『The Raid 2: Berandal(2014年)

約一年前に『The Raid 2: Berandal(Thugs)』(邦題は『ザ・レイド GOKUDO』)の前作、『The Raid :Redemption』を紹介しました。この時期、ホリディシーズンですから、エンターテェイメント性が高いものを紹介したくて、色々と探してみたのですが、最近中国…

シンガポール映画『Ilo Ilo』(2013年)

シンガポール映画史上初めて、2013年カンヌ映画祭で<長編新人監督賞>に当たるCamera d’Or award を受賞、台北金馬映画祭優秀賞含む四部門での優勝、その後数々の映画賞を獲りました。シンガポールは、アジアの経済大国です。が、たった人口500万人の、…

台湾映画『大尾鱸鰻(David Loman))(2011年)

『大尾鱸鰻(David Loman))(2011年) 香港には、周星馳がいるが、台湾には、Chu ke-liang (豬哥亮)がいる。別名、台湾の喜劇の王様である。この喜劇の王様、台湾では、「秀場(ショー)天王」とか、「秀場(ショー)巨星」とか言ったら、他でもない彼のこと…

中国映画『11 flowers』( 2011 年『我 11』)

もの悲しいくらい美しい映像です。元より美しい街なのかもしれませんが、決して豊かには見えないながらも牧歌的で、詩的でさえあります。編集エディターが著名なフランス女性だからでしょうか、ハッシュ(荒い)でロウ(生)なドキュメンタリー調の撮影から…

フィリピン映画『On the Job』(2013年)

「驚きの一作」と云う感じがありました、この映画『On the Job 』(2013 年、監督Erik Matti)には。女性コメディエンヌのAi-ai de las Alasの家族物コメディか、ラブコメばかりが大ヒットしている国に異種が出現した、と云う感じです。カテゴリーは「アクショ…

インド映画『Don2』(2011年)

昨年インド映画を紹介したけど、いかにもインド映画でした。口パクの歌と踊りがあってね。今回は、「えっこれが、インド映画?!」って驚いた映画を紹介しちゃいましょう。『Don』(2006年)は、1978 年のAmitabh Bachchan主演の同名映画のリメイクなのです…

中国映画『Drug War』(2012年)

日本と中国、韓国3国の上映映画トップ10リストを見る機会があり、ちょっと残念に思った。日本市場でさえも、邦画が10本中7本と快挙ではあるが、残り3本は米国で、中国語映画、韓国映画は一本も入っていない。又、中国や韓国がどのような映画を上映し…

シンガポール映画『Ah Boys to Men』(2012年)

シンガポール映画と云えば、Glen Goei監督のディスコ/カンフー/ミュージカル『That’s the way I like It』(aka『Forever Fever 』1998年)を思い浮かべる人が多いようです。ジョン・トラボルタの『Saturday Night Fever』へのシンガポールの応戦とも云うべ…

タイ映画『Gangster 』(2010年)

2010年、カンヌでApichatpong Weerasethakul監督の“Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Life” がパルム・ドールに輝きましたが、タイ庶民には支持され難い作品だったようです。映画は娯楽ですから、高尚なものでなくて良いのですが、政治的、思想的なこ…

韓国映画『Miracle in cell No.7』(2013年)

この映画を観て大笑いし、大泣きしたら、<良い映画>の定義が分からなくなりました、私です。嫌な予感は最初からします。けれどコメディだから、と思って笑っていると、何処となく居心地の悪い気分にさせられていく。でも、笑わされるシーンの続出で、笑っ…

トルコ映画『Once Upon a Time in Anatolia』(2011年月) 

トルコは、アジアか?と聞かれてしまうが、アナトリアは、トルコ共和国のアジア部分、アジア大陸の最西端の西アジアに当たる。今日紹介しますのは、Nuri Blige Ceylonの『Once Upon a time in Anatolia』(2011年)。この監督は、写真家でもあるそうで、最近の…

中国映画『Tiny Times 1&2』(2013年)

中国の経済成長の著しさは、私などが吠えることではないとは思うが、映画界の発展も、もうあんぐり びっくりの域である 。ハリウッドが中国圏に媚を売るようになって久しいが、中国映画界の2000年頃からの著しい発展を振り返って、虚構を見たような気に…

マレーシア映画:『KL Gangster 』(2011年)

常時アジアの新作品を観る機会を探している私だが、Youtubeなどでも随分色んな作品が観賞出来ることを確認したので、ちょっとネットサーフィーングをなさってみる事をお勧めしたい。 今年最後の映画はなるだけ華やかなものを選びたかったが、今回紹介する映…

中国映画『Finding Mr.Right』(2013年)

『Finding Mr. Right』(北亰遇上西雅圖,2013年)西雅圗(Xi ya tu)は、シアトルのことだ。原題は『Beijing meets Seattle』と云う。映画は2月に香港で初プレミアされ、中国本土で大ヒットになる。5億ドルの資本で、83億ドル稼いだというから、笑いが止…

インドネシア映画『The Raid:Redemption』(2011年)

インドネシアの映画発展に、皮肉にも第二次世界大戦中の日本軍のインドネシア占領が一役買っている、と云われています。しかし戦後も68年経った今、インドネシア映画への日本の影響を話すのは、くすぐったいくらい昔の話になってしまいました。インドネシ…

タイ映画 『Bangkok Traffic Love Story 』(2009年)

最近の韓国映画の勢いは驚くほどで、全盛期じゃなかろうか。秀作が幾つもあって、アジアン映画の紹介が韓国映画の紹介のコラムになってしまうので、今月はちょっと頭が痛かった。悩んだあげく、秀作だけど重たい映画は避けて、ちょっと古いけどタイの恋愛映…

インド映画『Dum Maaro Dum』2011年

インド映画と云えば、歌って踊って『Sound Of Music』(1965年)が古いなら、 『Grease』(1978年) のインド版のイメージ。 女性の鈴のように高くひなる声が好まれるようで、どの映画も、同じ中年女性が唱っているって、まことしやかに云われたものです。全て同…

韓国映画『Poetry』(『ポエトリーアグネスの詩(うた)』2010年)

『Poetry』(2010 年)は、韓国のLee Chang-dong(李滄東)監督の作品です。高校の国語の先生から作家、それから映画製作の修行も基礎も何もないのに、映画監督になった、と云う人物。そう云った意味では、映画屋ではなく、作風も作家らしい。カット、スタイル…

フィリピン映画『You Are The One』(2006年)

フィリピン映画歴史を「アメリカの植民地から自立しようとする歴史」と見る人がいるが、300年にも及ぶ長いスペインの植民地、その後はアメリカの植民地であったことを考えれば当然の現象には違いない。映画に於いては、どこの国も大なり小なりハリウッド映画…

韓国映画:『The Thieves』2012年/日本題『泥棒たち』

『The Thieves 』は、韓国歴代動員記録第2位の映画です。(#1は、ポン・ジュノ監督の『The Host 』/『グエムル−漢江の怪物』2006年)。ベスト10に入っている映画って、年齢に関係なく大衆にアピールする映画に違いない、とは当然思うけど、秀作と云わ…

台湾映画『Warriors of The Rainbow:Seediq Bale』

台湾映画史上、もっとも製作費がかかったと云われる映画 『Warriors of the Rainbow: Seediq Bale』(2011年『賽紱克 巴萊』)は、台湾の原住民と日本統治時代の日本軍との間に1930年10月27日実際に起きた大虐殺、霧社(Wu She)事件を描いている。シーデッ…

邦画『歩いても 歩いても(Still Walking)』2008年

『歩いても、歩いても』(2008年、『Still Walking』) 是枝裕和を国内で誰もが知る名前にしたのは、映画『誰も知らない』(『Nobody Knows』2004年)主演の14歳の柳楽優弥が、カンヌ映画祭で日本人として初めて、しかも最年少で“最優秀男優賞”に輝いた時だ…

香港映画:『Overheared (竊聽風雲)』2009年

香港映画の名作の一つ、『Infernal Affairs 』(2002年)、の脚本家アラン・マック(麥兆輝)とフェリックス・チョング(莊文強)の二人が、共同監督して映画を作ったら、すごい事になったって、感じ。二人の共同作品は、最新作『The Silent War』(『聴風者…

タイ映画:『Yamada the Samurai of Ayutthaya』2010年

“Yamada”とは、山田長政のことである。沼津藩主の「駕篭かき」をして いたこの人物は、1612年に密航してシャムに渡った、と云われている。今までも遠藤周作、山岡荘八、白石一郎、和久峻三、中津文彦など の小説家が、山田長政を描いてはいるが、実際彼…

韓国映画『The Front Line』(2010年)

先日亡くなられた、映画『キャタピラー』(2010年)の若松孝二監督が史実を扱った映画『実録・連合赤軍—あさま山荘への道程』(2008年)は、上映時間が3時間ちょっと、と長いが、人間と云う生き物を嫌になるほど見せつけられて、観賞後しばし立ち上がれなか…